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D県警シリーズ横山秀夫

横山秀夫『陰の季節』の魅力とは?警察の「裏方」に焦点を当てた傑作ミステリー

横山秀夫 D県警シリーズ

警察内部の不祥事や県警本部の職務を題材にした、異色の短編推理小説集。

ドラマで取り上げられることが少ない人事・監察・議会対策に携わる県警本部警務部の警察官が奔走する。

あらすじ

連作短編集。

警察組織の内部で起きる出来事~世間一般では「警察の不祥事」と言われることが多いのだが~に、県警本部の人事担当の中間管理職が、淡々と調査し、真実を糾明していく。

ノンキャリアで階級は警視なので、かなり出世している方なのだが、そうはいっても警察なので、更に上に県警本部の部長がおり、キャリアもいる。本人も今のストレスの多い職務を大過なくこなして、次はどこかの署長にでもなりたい…という、まさに「中間」管理職である。

感想

警察の人事ミステリーが呼ぶ共感

この短編集に描かれるのは、警察という巨大組織を舞台にした、普遍的な「会社」の人間ドラマ。

組織の内部調査で炙り出されるのは、人間の嫉妬、保身、中間管理職の悲哀、出世、左遷…、働く人なら誰でも共感できるテーマである。

警察の内情を覗き見る面白さ

また、物語の背景として語られる警察組織の内情も非常に興味深い。

犯人当てやトリックの解明といった従来のミステリーとは全く違うのだが、全ての話に用意されている大どんでん返しがとても面白く、推理小説として一級と言ってよい。

こんな人におすすめ

  • ありきたりの刑事ドラマやミステリーにはもう飽きた 
  • 組織論やサラリーマン小説が好き
  • 質の高い短編小説を読みたい 

反対に、派手なアクションやスピーディーな事件解決といった描写はないので、そういう向きを求める人にはおすすめしない。 

この記事を書いた人
Windcastor

小説・ビジネス書・エッセイなど幅広く読む読書ブロガー。
「本の扉を開く」では、話題の新刊や名著を中心に、読後に残る気づきや感想をわかりやすくまとめています。
次に読む一冊を探すきっかけになれば幸いです。

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