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山崎豊子

山崎豊子『しぶちん』|大阪商人のどケチぶりに笑い、人生を考えさせられる短編集

山崎豊子 しぶちん

山崎豊子初期の中・短編集。船場の大阪商人の姿を描くものが多い。

各話のあらすじと感想

船場狂い

大阪の商業の中心地だった船場への憧れが高じ、船場に異常に執着するようになった商家の変わったおばさんのお話。執着が高じて船場の老舗を盛り立てていく…。

死亡記事

新聞社に入社した女記者が人事部長に連れられて社長に挨拶した。ここまでならよくある光景だが、社長は片脚を失っていた…。

それをきっかけに社長の来歴を「取材」するうちに、その厳しい人柄に関心を寄せて行く。「ムッシュ・クラタ」に続く「毎朝新聞」人物伝。

女記者とは山崎豊子自身であり、毎朝新聞は彼女が勤めていた毎日新聞であろう。

持参金

船場の大店から、妙に条件の良い見合い話が持ち込まれた小間物屋の四男。ウマい話に不審を感じ、娘の事情を探った結果最後にたどり着いた真実とは?

しぶちん

どケチで身代を築いた材木商の、度肝を抜くどケチぶりの数々。こうなると、金と貯める行為そのものが人生の目的になっており、なんともいじましい。

遺留品

謹厳実直な愛妻家の大手企業の社長が航空機事故で死んだ。その遺留品に不似合いなドライミルクの缶が。社内が上から下まで想像をたくましくする中、社長を尊敬してきた秘書がドライミルクの謎に挑むが…。ミステリータッチの企業小説とでも言おうか。

余談だか、この小説に、あの白い巨塔でおなじみの浪速大学が出てくる。里見助教授ではベッドが取れなかったので、鵜飼派の葉山教授がちょっと助けたのだろうw

こんな人にオススメ

この記事を書いた人
Windcastor

小説・ビジネス書・エッセイなど幅広く読む読書ブロガー。
「本の扉を開く」では、話題の新刊や名著を中心に、読後に残る気づきや感想をわかりやすくまとめています。
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