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山本一力

直木賞受賞作『あかね空』感想|江戸の豆腐職人が紡ぐ、涙なしでは読めない家族の物語。何かを失っても、人は再生できる。

山本一力 あかね空

京で鍛えた豆腐作りの腕を頼りに江戸に出てきた栄吉と妻おふみ、そして3人の子供たちの家族の物語。全編を通して人情に溢れ、泣かせる作品。

直木賞受賞作とのこと、賞のために「泣かせ」に行ったのかもしれないが、受賞はまあ相応しいんだろうなと思う。

あらすじ

第一部

京で豆腐作りに励み、いっぱしの豆腐職人になった栄吉。永吉とおふみは江戸に出て深川に豆腐屋を開く。

しかし、京と江戸は豆腐の好みが違っていた。
京ではソフト豆腐が好まれるが、江戸では木綿豆腐が人気なのだ。

そんな違いにに戸惑いながらも、永吉の豆腐は努力の甲斐あって次第に受け入れられ、江戸で確固たるポジションを築いてゆく。

実はその裏に、下町の人々のさりげない気遣いもあったが、それを知らずに成功を素直に喜びあう栄吉とおふみだった。

第二部

子供たち3人と次男の嫁が、様々ないきさつですれ違い、対立し、危機を迎え、そして和解する。

親子2代にわたって長い時間をかけてもつれた糸が、ここでも周囲の人々の人情を助けにきれいにほどけ、新しい出発を誓い合う。

感想

永吉とおふみが、知らない土地で、知らず知らずのうちに助けられながらも成功していく姿は、冷静に考えるとあまりにも出来すぎた話ではあるが、それを差し引いても人情に胸うたれるものを感じずにはいられなかった。

そして下巻では、子供も成長する中で、ユートピアが危機に瀕し、もとに戻る。ストーリーとしてよくありがちかもしれないが、最後には善意と希望によって修復され、家族が未来を語る最後に何かほっとした。

こんな人におすすめ

たまには人と人との繋がりの温かさや、思いやりに心洗われたいと思った人、斜に構えずに、素直に没入してみてはどうだろうか。
特に、こんな人にすすめたい。

  • 心温まる人情物語に触れたい
  • 家族の絆や再生の物語を読みたい
  • 時代小説初心者
  • 直木賞受賞作を読んでみたい
  • 疲れた心を癒やしたい
この記事を書いた人
Windcastor

小説・ビジネス書・エッセイなど幅広く読む読書ブロガー。
「本の扉を開く」では、話題の新刊や名著を中心に、読後に残る気づきや感想をわかりやすくまとめています。
次に読む一冊を探すきっかけになれば幸いです。

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