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重松清

なぜ、あの時「ごめん」と言えなかったのか。重松清『流星ワゴン』感想|後悔を抱える全ての大人たちへ

重松清 流星ワゴン

今回はドラマでやっている小説を読んだ。ミーハーなもので。

あらすじ

妻の浮気(というよりセックス依存症)と離婚問題、息子の不登校と家庭内暴力、自分はリストラ、金を持ってる父親とは不和と、日本家庭の不幸を一人で背負い込んだような男が、ある晩死を意識する。その瞬間、事故死した親子の霊が運転するワゴンに誘われ、「一番大切な場所」と称して1年前にタイムトラベルするところから物語が始まる。

タイムトラベルしたからといって簡単に未来を変えられるわけではないが、心が離れた(と勝手に思っていた)家族の本当の気持ちを次第に理解し、生きる力を取り戻してゆく。

そして、霊の親子も好き好んで成仏もせずにワゴンを運転しているわけではなく、霊なりの事情があった。この辺は完全に「あなたの知らない世界」である。

感想

やり直そうとしても過去は変えられない。過去を受け入れることで男は解放されていく。その過程を読みながら、男が父に言えなかった「ごめん」「ありがとう」という言葉を、自分でも言ってしまうかもしれない。

少し閉口したのは、夫婦生活の描写がやたらねちっこいこと。テレクラ狂いを知りながら妻を抱く夫の、嫉妬と屈折が入り混じった半ば倒錯的な欲情がよく表現されていると思う。が、通勤電車では読まないほうがいい。

原作とドラマの違い探しも楽しみ(夫婦生活のシーンも含め、笑。日曜9時ではオールカットを余儀なくされるかもしれないが)。

こんな人にオススメ

  • 父親との関係に、何かしらの思いを抱えている
  • 人生で何かを後悔し、「やり直したい」と思ったことがある
  • 重松清作品ならではの、不器用な優しさに満ちた物語が好き
この記事を書いた人
Windcastor

小説・ビジネス書・エッセイなど幅広く読む読書ブロガー。
「本の扉を開く」では、話題の新刊や名著を中心に、読後に残る気づきや感想をわかりやすくまとめています。
次に読む一冊を探すきっかけになれば幸いです。

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