親子3人で平凡な暮らしをしていたサラリーマンが突然末期がんを宣告されたことをきっかけに、疎遠になっていた故郷、幼なじみのもとに戻り、かつて反発した祖父と対峙しながら人生の最後の日々を送る様を描く。
感想
父と子の相克や、疎遠になった故郷や級友との向き合いは、この作者が繰り返し取り上げるテーマ。今回も、過去のもつれた糸がほどけたりそのまますれ違ったり。しかし、主人公なりに死への準備として心の中で決着をつけてゆく。
視点が変わるが、最初自覚症状のない末期がん患者がある日急変し、以後坂道を転げ落ちるように衰弱する描写が残酷なほど鮮明である。そして、死の床にあってもなお性欲は残るものの、力なく乳房に触れることしかできない姿に哀しさを誘われる。
こんな人にオススメ
- 『その日のまえに』など、人生の終わりと残される人々を描いた物語が好き
 - 家族や故郷、旧友に対して、複雑な思いを抱えている
 - 人生の岐路に立っていたり、自分の人生を静かに振り返りたいと思っている
 
言うまでもなく、最後に主人公は死ぬ。全体を通して哀愁が漂う物語なので、明るい小説を求めるときには向かない。
 
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