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大栗博司

大栗博司『重力とは何か』:アインシュタインから超弦理論までをわかりやすく解説

大栗博司 重力とは何か

第一線の物理学者が、今日の物理学の最重要テーマ『重力』について、最先端の話題を巧みな比喩を織り交ぜながらわかりやすくかつ正確に解説してくれる。

概要

前半は、「重力の歴史」の振り返りである。

重力の研究は、ニュートンがリンゴを見て重力のアイディアをひらめき、惑星の公転運動を説明してみせたことに始まる。

重力の本質が解き明かされるのは、20世紀、アインシュタインの相対性理論を待たなければならなかった。アインシュタインはさらに、相対性理論からブラックホールの存在を予言する。そして物理学の世界では、時同じくして量子力学が物理学の常識を塗り替えつつあった。

後に、重力の研究に欠かせない存在になる相対性理論と量子力学の不思議な世界の数々が語られる。ここまでが準備である。

後半は、現在の物理学の最先端の紹介になる。

素粒子を点ではなく振動する弦や膜だととらえる超弦理論、それから、ホーキングに端を発する現代のブラックホールの研究が融合した重力ホログラフィー原理が語られる。

感想

全体に、正確、丁寧、わかりやすい説明が貫かれ、17世紀のニュートンから21世紀のホーキングに至る物理学の発展が良く分かる。また、おそらく著者本人による物理学史の偉人の線画が随所にあり、これが微妙に面白い。

とはいえ、最後の重力ホログラフィー原理は、一度読んだだけで納得できるものではないかもしれないが、『SFの斜め上を行く不思議さ』を感じる。

こんな人にオススメ

  • 物理学や宇宙に興味はあるが、難しそうで敬遠している
  • 「なぜ世界は存在するのか」といった、根源的な問いに知的好奇心をくすぐられる
  • 子供に科学の面白さを伝えたいと思っている親世代
この記事を書いた人
Windcastor

小説・ビジネス書・エッセイなど幅広く読む読書ブロガー。
「本の扉を開く」では、話題の新刊や名著を中心に、読後に残る気づきや感想をわかりやすくまとめています。
次に読む一冊を探すきっかけになれば幸いです。

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