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夏目漱石

夏目漱石『草枕』が伝える芸術と人生:「非人情」の世界と美しくも切ない恋愛譚

夏目漱石 草枕

有名なこの一節で始まる夏目漱石の小説がこの「草枕」だ。

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

あらすじ

人間関係のしがらみに嫌気がさした若き画家が、「非人情」をしに写生旅行に出かける。

彼は温泉宿で若奥様の那美に出会う。出戻りという噂があり、どこか浮世離れした不思議な魅力を持っていた。

その那美から自分の画を書いてほしいと頼まれるが、どうもしっくり来なかったのか、一旦は断るのだが…。

日露戦争の現実・温泉宿での自然や芸術に対する思索・地元の人と交流を通して、明治後期の日本が点描される。

感想

見どころはまず、主人公の行動や思索、そして女主人との対話として描かれる漱石の芸術論。 日常を離れた「非人情」の中で、思索にふける。漢詩を吟じる。世界の美術や文学を語る。それを大切にする在り様だろう。

もう一つの見どころは、主人公と女主人の「恋愛譚」。
漱石は 東京帝大の教壇で’I love you.’を「月がきれいですね」と訳すよう指導したという。

そんな彼にとって、二人の語らいは恋愛を通り越してもはや官能的とすらいえるのではないかと思う。

こんな人にオススメ

  • 明確なストーリーより美しい文章や思索的な世界観に浸りたい
  • 夏目漱石の多彩な文才に触れたい
  • 日々の人間関係に疲れ、少しだけ俗世から離れたい
この記事を書いた人
Windcastor

小説・ビジネス書・エッセイなど幅広く読む読書ブロガー。
「本の扉を開く」では、話題の新刊や名著を中心に、読後に残る気づきや感想をわかりやすくまとめています。
次に読む一冊を探すきっかけになれば幸いです。

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