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濱嘉之警視庁公安部 青山望

濱嘉之『警視庁公安部・青山望 機密漏洩』モデルは岸田文雄?中国の闇に迫るリアルな警察小説

警視庁公安部・青山望

警視庁の内部でも有名人の同期同教場4人組が、中国や裏社会の脅威と対決するシリーズ第4作。

あらすじ

前作の、原発をめぐる凄惨な大間事件の犯人が逮捕され、青山たち同期カルテットは所轄の課長として日々の活動に戻っていた。

しかし、青山の中では、大間事件は未解決のままだった。実行犯こそ逮捕したものの、消化不良の感が拭えず、背後関係の全容が解明できたとは思えなかったからだ。

長崎で見つかる難破船

そんな中、長崎県の平戸島で難破船が見つかる。長崎県警が内部を捜索し、銃創のある遺体5体が発見された。
また、船内の遺留指紋が、龍華会の首謀兄弟に近い袁劉のものとヒットし、袁劉の犯行の可能性が浮上する。

この報に警察庁のチヨダが色めき立ち、麻布署警備課長の青山に情報収集を要請。
青山はカルテットを通して情報収集を開始する。
その中で、中国マフィアの内部抗争の実態や、日本の暴力団とのつながりが浮き彫りになってくる。

琵琶湖で見つかる難破船、そして事件は泥沼化…

そんな中、オフに琵琶湖を遊覧していた滋賀県警本部長が釣り船の中で射殺体2体を発見し、被害者は長崎の難破船の持ち主と判明。さらに船内の血痕が、逆浸透膜技術では他の追随を許さないジャパンレーヨンの技術者のものと一致した。

事件が不気味な広がりを見せる中、今度は麻布署管内のクラブで在日中国人が集団で撲殺される凄惨な事件も発生し、被害者が中国の産業スパイの元締め企業の幹部と判明。一連の事件の背後に中国の産業スパイ活動と日本の暴力団がいる疑いが濃厚となる。

そして、捜査が進むにつれ、中国から政治家への違法献金や、警察キャリアの不祥事も発覚し、事件は底なし沼の様相を呈していく…。

感想

事件が次から次へと起き、目まぐるしい。

しかし、多くの事件が次第に一本の線につながっていく様は興味深い。その中には大間事件も含まれる…。

さて、今回の登場人物のモデルはこんなところだろうか。

  • 親中派の国会議員岸辺雄一郎とは、 明らかに今や総理再登板を狙う岸田文雄だろう
  • 岸辺の親分で総理になれなかった大物畑陽一はちょっとよくわからないが、宏池会つながりだと河野洋平だろうか?
  • 逆浸透膜で有名な大津に拠点を持つジャパンレーヨン 通称ジャパレ、これは明らかに東レだろう

半グレの通奏低音「歴史」と「中国社会」

このシリーズは、半グレ(東京狂騒会と龍華会)や中国の東北マフィアと香港マフィアが絡む裏社会の犯罪を取り上げることが多いが、その歴史的な背景や、中国社会の闇の深さも毎回痛感するところだ。

袁劉の母親も、アジア・太平洋戦争後の混乱でに中国に取り残された残留孤児だった。

また、一流大学を出ても、結局はマフィアに身を投じざるを得ず、最後は警視庁に逮捕されてしまう悲しい中国の庶民たち。

取調べシーンの活写は今回も健在だが、今回の取調べではそんなことを思わずにはいられなかった。

こんな人にオススメ

  • 濱嘉之『警視庁公安部・青山望』や『警視庁情報官』シリーズを読んできた
  • 政治や日本の歴史の裏側を描く社会派ミステリーが好き
  • 警察のリアルな捜査手法や組織の動きに興味あり
  • 中国や広域暴力団が絡むスケールの大きな物語を読みたい

過去作品の登場人物や事件が絡むため、シリーズを最初から読んでいる方がより深く楽しめる構成になっている。「警視庁公安部・青山望」シリーズを初めて読む人には、「警視庁公安部・青山望 完全黙秘」がオススメ。

この記事を書いた人
Windcastor

小説・ビジネス書・エッセイなど幅広く読む読書ブロガー。
「本の扉を開く」では、話題の新刊や名著を中心に、読後に残る気づきや感想をわかりやすくまとめています。
次に読む一冊を探すきっかけになれば幸いです。

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