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濱嘉之警視庁公安部 青山望

濱嘉之『警視庁公安部・青山望 濁流資金』:次々起こる怪事件!暗号資産をめぐる巨悪と公安警察の戦い

警視庁公安部・青山望

警視庁の同期同教場に偶然集まったエース4人が、暴力団や半グレと対決するシリーズ第5作。

あらすじ

異動に戸惑う4人

青山を始めとするカルテットは所轄でも大きな外事事件を解決
次は本部の管理官への昇進が確実視される中、異動の時期を迎えていた。

青山は公安総務課の管理官急死という非常事態を受け、その後任として予定より数ヶ月早く本部に戻る。
他のメンバーも本部に戻ったが、捜査第2課はともかく、人事第1課の監察・表彰担当管理官や、科警研の総括補佐に補せられたメンバーは戸惑いを隠せなかった。

しかし、そのポジションに集まる情報と権限を知り、カルテットはむしろ身が引き締まる思いを新たにしたのだった。

暗号資産の旗手、射殺さる

その頃、暗号資産取扱業者の京都ゴックスの若手社長が交通事故に巻き込まれた直後、路上で射殺される事件が起こる。

IT業界では有名で、京都府警サイバー犯罪対策課にも協力的な人物の被害に警察は驚くが、実は府警警備部はチヨダの指示でこの人物を視察しており、きな臭さも漂っていた。

銃弾を調べると、岡広組の元No3清水保や半グレ集団東京狂騒会のトップ神宮寺武人の影が現れ、さらに京都ゴックスの元親会社帝国ゴックスの仮想通貨が詐取されたことも判明。大がかりな犯罪として、青山も独自に捜査を開始する。

その後、政官財の大物に急性心不全による突然死が「流行」するなど、最初の事件が何だったか忘れてしまうほど次から次へと凶悪事件が起こるが、カルテットの情報収集と捜査により、やがてそれらは一本の線につながっていく。

感想

今回、2世の野党党首が出てくる。実際にこんな結末を辿った野党党首はいないのだが、「親父はダーティーな失言癖」といったところから、元みんなの党の渡辺喜美がキャラクターのベースかもしれない。

なお、今回の取り調べのシーンはこれまでとは一味違い、青山ですら犯人の毒気に調子を狂わされる。どんな奴が何を言い出すのかはお楽しみ。

さて、警視庁と地元警察の合同捜査は一応は実を結ぶのだが、巨悪の清水や神宮寺が簡単に尻尾を出すはずがない。そして、次の「巨悪利権」で巨悪がまた蠢く。

こんな人にオススメ

  • 濱嘉之『警視庁公安部・青山望』や『警視庁情報官』シリーズのファン
  • 政治や金融・医療の裏側を描く社会派ミステリーが好き
  • 警察のリアルな捜査手法や組織の動きに興味あり
  • 中国や国際的な裏社会が絡むスケールの大きな物語を読みたい

過去作品の登場人物や事件が絡むため、シリーズを最初から読んでいる方がより深く楽しめる構成になっている。「警視庁公安部・青山望」シリーズを初めて読む人には、「警視庁公安部・青山望 完全黙秘」がオススメ。

この記事を書いた人
Windcastor

小説・ビジネス書・エッセイなど幅広く読む読書ブロガー。
「本の扉を開く」では、話題の新刊や名著を中心に、読後に残る気づきや感想をわかりやすくまとめています。
次に読む一冊を探すきっかけになれば幸いです。

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