記事に広告が含まれています
濱嘉之警視庁公安部 青山望

警視庁公安部・青山望『最恐組織』——東京マラソンを襲う影と、4人の同期の最後の戦い

警視庁公安部・青山望

警察上層部だけではなく、警視庁職員も噂するほど勇名がとどろく同期同教場4人組。彼らが緊密な情報連携で日本に蠢く反社組織や外国勢力と対決するシリーズも、12回目の今回で最終回となる。

あらすじ

世界屈指の市民参加マラソン大会に成長した東京マラソン。その最中に殺人事件が発生した。

参加していた四井銀行の幹部が、沿道で渡された甘酒を飲んだ直後に死亡。遺族の要請で司法解剖を実施したところ、血液から多量のメタンフェタミン(覚せい剤)が検出された。

東京オリンピックでのテロ防止が至上命題だった時期の事件だけに、首相官邸も都知事公室も騒然となったが、溶けた覚せい剤からは産地を特定することすらできず、捜査は難航する。

それから3ヶ月後の浅草の三社祭。
神輿を担いでいた地元の暴力団員5名が、類似の手口で殺害される。

この事態に、カルテットもだんだん捜査に巻き込まれていく。

感想

2つの殺人事件を軸に、反社・半グレ・外国勢力がそれぞれ異なる思惑で起こす多数の事件と、公安の情報戦が重層的に絡み合う。その底流に引退した経済ヤクザのドン清水保がいるというのはいつも通り。

はたして、清水保はどうなるか?そして、4人が選ぶ今後のキャリアにも注目。

ヤクザに縋るロシアマフィアにスカッ!と

このシリーズでは、暴力団が医療法人をフロント企業化し、医療ツーリズムに乗っかりぼろ儲けする手口が何度も紹介されてきた。

今回は、それを聞きつけたロシアマフィアの大物が来福し、「早いとこ俺のガンを手術してくれ、頼む!」と清水保の後継者に哀願する。その場で予約を取り、最大の貸しを作る。これはなんとなくスカッとする場面かもしれない。

さて、最近の日本の大学病院は、保険診療の赤字を補填するために中国人富裕層を入院させ、最新の医療を自由診療で提供している。これは2025年に国会質問があり、政府も公式に実態を把握している。

「医療ツーリズム」と称する中国人富裕層相手の医療ビジネスは、本当に日本に定着したのである。

モデル考察

今回は多数の事件が起きるため、実在のモデルがいる人物等も多い。

  • 東京マラソンで殺害された被害者の勤務先四井銀行は明らかにさくら銀行→三井住友銀行。
    • 神戸大空銀行は太陽神戸銀行
    • 住重銀行はもちろん住友銀行
    • 兵庫大空銀行は、バブル期に住友銀行に吸収された平和相互銀行と神戸銀行を重ね合わせていると思われる。
  • 兵庫大空銀行の株買い戻しで暗躍し、後にラクルート事件(リクルート事件)で大きな存在だった議員秘書とは、竹下登の秘書で、退陣直前に自殺した青木伊平か。
  • 兵庫大空銀行を食い物にした「タコ入道」ことコリアンマフィアの詐欺師は許永中。タコ入道と昵懇の公安警察出身の政治家鶴田は亀井静香。
    亀井静香と許永中「密会の手帳」–許永中秘書の手帳に度々出てくる「亀井先生」
  • 代々木教は創価学会。カルマ真仙教は、言うまでもなくオウム真理教。

こんな人にオススメ

  • 濱嘉之『警視庁公安部・青山望』の続きが気になる
  • 国際情勢やテロ対策など“リアル寄りの公安もの”が好き
  • 警察、暴力団・半グレ、さらには国際マフィアとの戦いなど、社会の裏側に興味あり
  • リアルで骨太な警察小説、社会派ミステリーが好き

一話完結ではなく、過去作品の登場人物や事件が次の伏線になることがあるため、シリーズを最初から読んでいる方がより深く楽しめる構成になっている。「警視庁公安部・青山望」シリーズを初めて読む人には、「警視庁公安部・青山望 完全黙秘」がオススメ。

この記事を書いた人
Windcastor

小説・ビジネス書・エッセイなど幅広く読む読書ブロガー。
「本の扉を開く」では、話題の新刊や名著を中心に、読後に残る気づきや感想をわかりやすくまとめています。
次に読む一冊を探すきっかけになれば幸いです。

Windcastorをフォローする
シェアする
Windcastorをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました