医学の歴史を見ると、それまでの常識を覆す治療法を臨床試験によって証明することで発展を果たしたことが時々あった。
それでは、現代医学ではその効果が解明されていないとされる代替医療は、本当に有効なのだろうか?
現代の臨床試験とはどういうものか。そして臨床試験を経ていない代替医療(呪術みたいなものから日本では相応の地位を得ているカイロプラクティックや鍼を含む)は本当に効果があるのか。文字通り科学のメスを入れていく。
あらすじ
鍼・ホメオパシー(私はこの本で初めて知ったが欧米では有名らしい)・カイロプラクティック・ハーブ療法(効果が証明されていない漢方薬もここに分類される)について、由来・哲学・歴史などを詳しく紹介し、多数の臨床試験の結果を分析してその効果と害を解明する。
末尾にその他の代替医療が多数集められ、効果と害が手短に示されている。この一覧から代替医療が広範囲にわたることがわかる。
これが「代替」医療なのか、そもそもこれを代替「医療」として取り上げるのかと驚くことだろう。それぞれ、効果があるものはある、ないものはない、有害なものは有害と明快で読み応えもある。
そして後半は、代替医療を支持・助長する者を実名でバッサリ斬りまくっている。
感想
前半で、信頼に足る臨床試験とはどのように行われるべきものなのか、そして多数の臨床試験の結果を束ねて改めて分析するメタアナリシスの手法についてしっかりとした解説があり、大変学びになる。
後半で様々な人物を斬り捨てているのだが、最初に出てくる人物に驚くかもしれない。
きちんとした根拠に基づく批判であれば、遠慮なく出版できることが、本当の言論の自由なのだ。
余談だが、著者のサイモン・シンは、フェルマーの最終定理証明の物語や、宇宙論の歴史といった科学史の読み物も著しており、どれも面白い。
そして、共著者のエツァート・エルンストは、自らホメオパシーでの治療経験もある代替医療の研究医だという。それでも共著者として代替医療に科学のメスを入れたことは特筆に値しよう。
こんな人にオススメ
- 健康や医療の情報に関心がある
- 代替医療(鍼灸・漢方・ホメオパシーなど)を利用・検討している
- エビデンスに基づく医療とは何かを学びたい
- 「フェルマーの最終定理」「宇宙創生」などサイモン・シン作品のファン

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