はじめに
官吏と作家の二足のわらじを履く木村の一日を描いた小品。
…と言うとそれまでだが、二足のわらじを含め木村の設定の多くが鴎外自身に重なることから、官吏として、作家として、自身の仕事の様子や心持をこの作品で仄めかしたと思われる。
あらすじ
主人公の木村、官吏の仕事も執筆活動も、どこか客観的で冷めた視点から「遊戯」のようにこなしていく様子が、淡々と綴られる。
日々の生活に追われることなく、常に一段高い場所から世の中を眺めているような余裕が「余裕派」「高踏派」そのものである。
感想
「遊び感覚が他人にはあからさまでよく非難される」などと言い、別のところでは鴎外の文学に対する批評への反撃や弁明を試みる。
世間の批評家や同僚に、自分の仕事も文学も、真面目くさった必死の成果ではない。あくまで『あそび』だと、上から目線をキープしたい鴎外の心象風景がよく見える。
そして、鴎外自身の言い訳めいた記述が散りばめられているのがほほえましい。
こんな人におすすめ
森鴎外の人間性や素顔に興味がある
短い時間で質の高い文学作品を読みたい
仕事とプライベートの両立に悩んでいる
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